2013年8月29日木曜日

親から見た虐待(1) ~ 虐待はどの家庭でも起こりうる~

虐待というと、一部の「ダメな親」がしているように思われるかもしれません。
しかし、実はどの家庭でもおこり得ることなのです。

 

多恵子さん(28才)のケース


多恵子さんはマンションで5ヶ月の赤ちゃんを育てるお母さん。
結婚を機に引っ越してきたので、実家は遠く、友人も周りにいません。昼間は家で子どもと二人きり。夜泣きをするので一生懸命あやすのですが、なかなか泣きやまないのでイライラする毎日でした。旦那さんは仕事や付き合いで遅く帰ってくるので起こしては悪いと思い、育児はほとんど自分だけでやっていました。

どの家庭でも起こりそうな状況です。こんな時、あなたならどうしますか?
どうすればよいのか、誰に頼れば良いのか、思いつきますか?

 

虐待のきっかけ


多恵子さんは夜泣きを止められない自分を「ダメな母親」だと感じ責め続け、少しずつ感情が不安定になっていきました。
ある日、泣き止まない子を揺さぶると、子どもが静かになりました。それからは泣き止まないとそうしていましたが、ある日、赤ちゃんの顔色が悪くなるのを見て、大慌てで病院に駆け込みました。
すると「揺さぶられっこ症候群」と診断されたのでした。旦那さんはこのとき初めて、子育てに悩んでいたことを知ったのです。

多恵子さんの行動はもちろん適切ではありませんでした。
けれど、毎晩泣き続けられて、とにかく静かにさせなければと、かなり追い詰められていたのでしょう。この状況を一方的に多恵子さんが悪いと責められるでしょうか?

もし、誰かに手伝ってもらえていたら、相談できていたら…また状況は変わってきたはずです。

虐待の背景には少子化・核家族化、近所付き合いのとぼしさに伴う親子の孤立、家族間ストレスなどがあり、様々なことが引き金になります。どの家庭でもおこり得ることなのです。


今回は虐待はどの家庭でも起こりうるという点を例を交えてお話しました。
次回は、どうすればよいか、また、予防のためには何ができるのか、周りは何ができるのかについてお話していきたいと思います。



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2013年8月21日水曜日

「どうしてやめられないの…?」リストカットについて(2)

前回はリストカットの実態についてご報告しました。
今回は、具体的な事例と対策についてお話します。

 

A子さんの事例


私は中学生の時、最初のリストカットを経験しました。その頃、家で嫌なことがあり、気分が晴れずに悶々としていました。
ある日、カッターで手首でも切ってみようと思い、そーっと腕に傷をつけたところ、血が出てきて気分がスカッとしました。

それ以来、やめようと思っても、自分ではやめられなくなりました。切っても痛くないし、どんどん流れてとまらない血を見ていると、笑いが止まらなくなったりします。

高校ぐらいから学校のトイレでも切るようになりました。腕にはたくさんの傷跡が残っているので、長袖しか着れません。(19歳専門学校生A子)

 

リスカ対策どうすればいい?


上記のA子さんのように、リストカットをしている時に痛みを感じない人はたくさんいます。
自分自身の心が現実にないような状態になり、知らないうちに手首を切ってしまう人もいます。

どうしてそんなことをするのかと不思議に思う人もいると思いますが、リストカット自体の意味よりも、リストカットをした人の気持ちや悩みの背景に注目してあげてください。
個々の事例により異なりますが、幼少時からずっと家庭の悩みを抱えている人が半数以上いるという報告もあります。

自傷行為について、周囲の者は怒ったり叱ったりせずに、その背景にある悩みをゆっくりと聴いてあげてください。それが有効な予防と対策になります。精神科や心療内科などでカウンセリングを受けることもオススメです。

リストカットしたくなったら、やわらかい先の丸いマジックや筆ペンなどで、特殊メイクのように腕に傷の模様を描いて、本物のリストカットを避ける人もいます。
カウンセリング以外にも、代わりとなる方法を自分なりに工夫をすると良いでしょう。

一人で悩みを抱えずに、信頼できる相談者を見つけることが大切です。



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2013年8月14日水曜日

「どうしてやめられないの…?」リストカットについて(1)

自分自身のリスト(手首)を傷つける行為…リストカット。

若者の間では、「リスカ」とも呼ばれ、一般的な女子高生の1~2割が経験しているといわれています。
一種の社会現象ともいえるリストカットですが、その実態はどうなっているのでしょうか。

今回は、リストカット現象の実態について、ご報告します。

 

リストカット現象の実態


リストカットは自分自身を傷つける「自傷行為」の1つです。
「自傷行為」は手首だけに限らず、腕、足、腹など様々ですが、ある総合病院の調査によると「自傷行為」の患者さんの約60%が手首を傷つけているとのこと。やはりリストカットが一番多いようです。
ちなみに腕(アーム)を傷つける行為は「アムカ」と呼ばれます。

リストカットをするのは若い女性が多いのですが、中年の方や男性、中には小学生もいます。世間一般的には、自殺目的と間違えられることが多いのですが、ほとんどの人が体を傷つけること自体が目的で、自殺をしたいわけではありません。
明確な理由はないけれど、「イライラしたので一度切ってみたらスーッとした」など自傷行為自体がクセになってしまう人が大半です。こっそり隠れてリストカットをする人もいれば、自分のホームページなどで写真を公開する人もいます。

周囲から見て一番心配なのは、傷による出血ですが、前出の病院の調査によると、病院に来ている患者さんのうち、自然に出血がとまる浅い傷が約60%、傷口を縫う必要のある深い傷が約30%でした。傾向としては、浅い傷を複数、手首や腕に刻みつけるといった行為が多いようです。

しかし、必ずしも自殺願望がないわけではありません。
リストカットという行為の裏には、「どうすればいいかわからない」「助けてほしい」「苦しみをわかってほしい」という心の叫びが隠されているのです。

次回は、リストカットの事例と予防・対策についてお話します。


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2013年8月7日水曜日

「ストレスに負けたくない!」ストレスに勝つ食べ物

仕事のストレス、将来の不安など、身の周りには心身を疲労させるストレスがいっぱいです。

そんなストレスに囲まれていても、イキイキ元気に毎日を過ごしている人もいますよね。
生まれ持った精神力や体力の差もありますが、意外と食生活の影響もあることをご存知ですか?

今回は、ストレスと食事の関係とストレスに勝つ食べ物についてお話します。

 

ストレスと闘える基礎脳力を!


「不安」や「うつ」は、「医療機関で薬を貰って治すもの」と思っていませんか?
これは間違ったことではありませんが、いくら薬を飲んだからといって、栄養不足の食生活では、良くなる可能性は低くなってしまいます。
「不安」や「うつ」は脳が感じ取るもの。そして、脳の細胞や脳内物質は、食事から摂る栄養素により作られます。忙しいからといって、食事を手抜きすると…栄養不足で、脳はストレスと戦うことができなくなるのです。食事の手抜きだけは絶対にNGです!


ストレスが多かった日の食事


ストレスがかかると、「コルチゾール」や「アドレナリン」などの体内のホルモンが増えます。体内で自然に分泌されるホルモンは、通常は体に役立つものですが、ストレスなどで過剰に分泌されると、脳に悪影響を与えます。
やる気を衰えさせたり、様々な依存症などの「心の病」へのきっかけとなる恐れがあるのです。仕事などでストレスを多く感じた日は、魚、大豆、ビタミンB類をいつもよりも多く摂りましょう。過剰に分泌した体内ホルモンの働きを正常に調えてくれます。

では反対に、これらのストレスに対抗する力を弱めてしまう食べ物にはどんなものがあるでしょうか?

それは清涼飲料水や甘いもの、アルコールなどです。これらは、一時的には脳に糖分を与え元気にしてくれますが、こればかりに頼るとかえって後から疲れが出てしまいます。ストレスの多かった日は、お酒を飲む前に必ず、魚や大豆、ビタミンを摂りましょう!サプリメント代わりに常にストックしておくと良いですね。


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